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(歯科ブログ)問い合わせの多い治療 ~親知らずの手前の虫歯~

2018. 1. 18.

練馬区 大泉学園 北口徒歩3分の歯医者 山中歯科の山中大輔です

 

明けましておめでとうございます。今年も一年よろしくお願い致します!

 

私は新年早々風邪をひいてしまい、鼻声が続いてましたがようやく普段の体調に戻ってきました。

 

今年最初の歯科ブログですが、最近問い合わせが増えてきた虫歯治療について説明します。

 

 

「親知らずが痛くなった」という患者さんは、毎月必ずいらっしゃいます。

また、「以前から痛みを繰り返している」という方も少なくありません。

 

そういった方々に対して、私が必ず説明する事の一つに、「親知らずは虫歯になっても抜けばいいけれど、一つ手前の歯が虫歯になると治療が困難なことが多い」という内容があります。

 

親知らずの周囲というのは、気を付けてブラッシングをしていても、歯ブラシやフロスの清掃道具がとどきづらいことが多く、そのため、親知らずの手前の歯の深い部分が虫歯になってしまうことがあります。

 

「今まで虫歯になったことが無い」という患者さんの中でも、親知らずを放置していたがために、「手前の歯に大きな虫歯がある」という方はかなり多くいらっしゃいます。

 

 

親知らずの手前の虫歯1

 

上の写真の患者さんもそのようなケースでした。

 

矢印の先に虫歯があるのですが、外側からはまったく見えません。歯肉のさらに下に隠れてしまっています。

 

親知らずの手前の虫歯2  親知らずの手前の虫歯3

 

親知らずの抜歯は他院でされたとの事でしたが、手前の虫歯(黄色い線で囲まれた部分)の治療は難しいと説明を受けたそうです。

 

この場所を通法に従って治療するには、下の写真の赤い部分に対し、「虫歯が見えるまで削った後、虫歯の部分を取り除き、削った部分を被せる」必要があり、

また、元々の虫歯が神経に近いため、神経を取ってから治療を行う可能性も説明されたとの事でした。

 

親知らずの手前の虫歯5


 

確かに、従来の治療法であれば、上記の様な方法しかありません。

当院でも、一昨年までは従来通りの治療法でしか治療できませんでした。

 

ですが、昨年導入した「マイクロスコープ」によって、「見えない場所が見えるように」なり、訓練を積むことで、上記のようなケースでも「虫歯の部分だけを削って詰める」という治療法(ダイレクトボンディング)を応用できるようになってきました。

 

下の写真はマイクロスコープで虫歯の部分だけを削っている時点のものです。

 

親知らずの手前の虫歯6

 

写真でみると、どこの場所なのか、何をしているのか、全く見当もつきませんが、一番奥の歯の裏側(のど側)の場所にある虫歯を、小さいミラー(鏡)にうつし、映した場所を確認しながら、特殊な装置を使って虫歯を除去していきます。

 

この処置が非常に困難なんです。20倍に拡大した視野で0.1mm単位で虫歯を除去していきますが、通常の切削器具(タービンやエンジン)はほとんど届きません。

下のように超音波装置の先端を折り曲げて、虫歯に届くように加工しておきます。

 

親知らずの手前の虫歯7

 

しかし、それでもすぐに虫歯を取り除けるわけではありません。

何度も虫歯を染め出し、確認し、ミラーを見ながら少しずつ虫歯を取っていきます。

ミラーで反対に映し出された場所を、0.1mm単位で削っていくわけですから、「裸眼では不可能」に近い処置になります。

 

これは決して大げさな言い方をしているわけではなく、ほとんど見えない場所の、虫歯の部分だけを削っていくのは、約20倍に拡大できる「マイクロスコープ」がなければ治療できないと考えています。

 

この「虫歯を取る」という作業だけでも、約1時間かかることもあります。

 

虫歯を除去した後、仮のセメントで封鎖し、次の予約時にダイレクトボンディング(レジンという材料で虫歯の部分を埋める)を行いました。

下のレントゲンで、緑の線で囲った部分が、虫歯を取り除きレジンで充填した部分です。

 

親知らずの手前の虫歯4    親知らずの手前の虫歯8

 

2日に分ける理由としては、

・痛みがでないかどうかを確かめる 

・周囲の歯肉の出血を止め、歯肉を圧排(虫歯の部分に歯肉がのっかってこないよう)しておく

ためになります。

 

 

術後の注意点としては、

 

・冷たい水などでしみることがある。

・麻酔が切れた後、歯肉の痛みは数日でる可能性がある。

・数か月した後、痛みが出た場合は、神経を取る治療が必要になることもある。

・歯ブラシが届きづらい場所に変わりはないので、術後の管理が重要(ホームケア・プロフェッショナルケア)。

 

などです。

 

通常の虫歯の治療であっても、元々虫歯が大きな場合には、術後に痛くなり、神経を取る必要が生じるケースもありますが、

今回の治療方法では、その場合でも、大きく削って被せる必要ななく、(虫歯の治療は終わっていますので)神経の治療をするためだけの切削に済むという利点があります。

 

 

今回は特殊は虫歯治療のケースでしたが、説明した通り非常に困難であり時間を有する治療になりますので、保険外適応となってしまいます。

しかし、大きく削って被せる治療と比較すれば、メリットは非常に多く、その後の歯の寿命を考慮すれば第一選択として良いと考えています。

 

「親知らずの手前の歯の虫歯」でお困りの方は相談してみてください。

 

山中歯科 山中大輔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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